死は新しいいのちへの旅です。こう一言うと非常に美しく響きますが、この旅をしたいと思う人はほとんどいません。これまでの旅の数々が、私たちの最後の旅の前置きとなっていると考えてみることは、死について考える時役に立つかもしれません。生まれる時、私たちは胎内の生活から家族の生活へと旅します。学校に行くようになると、家族の生活からより大きな共同体での生活へと旅します。結婚する時、多くの選択肢のあった生活から、 一人の人に深く関わる生活へと旅します。退職する時、なすべきことがはっきりしている仕事の生活から、新しい創造性と知恵とが求められる生活へと旅します。
これらの旅の一つひとつが、新しいいのちへと導く一つの死であるといえます。これらの旅をよく生きるなら、私たちの最後の旅に向けての準備がますます整えられてゆくことでしよう。
(今日のパン、明日の糧 ヘンリ・ナウエン)