愛、愛、われらのねがい求むべきものはこれである。 権能(ちから)はいらない、あってはなはだ危険である。知恵はいらない、あってはかえってわれらを迷わす。いるものは愛である。敵をたおすための権能ではない。われを倒さんとするわが敵を愛する愛である。これわれらのもっとも要求すべきものである。われらキリスト信者は権能をもってみずから守らんとしない。 「愛の中に恐怖(おそれ)あることなし、まったき愛は恐怖を除く」(第一ヨハネ4:18)とあれば、われらは愛をもって敵に向わんとする。われらは権能の足りないのをなげかない。愛の足りないのを悲しむ。愛をもってあふれさえすれば、天上天下怖るべきものは一つもない。
(一日一生 内村鑑三)